『カラマーゾフの兄弟』
これまで何冊か読んできた中で、
短いのになかなか読み進められなかった本と、
長かったけれど、一気に読む事が出来た本がありました。
『カラマーゾフの兄弟』は、どうだったかと言うと、
長かったけれど、頑張ってなんとか読み通せた本でした。
自分の場合は、かなり怠惰になる時期がありまして、
やる事が無いと、ひたすら寝てばかりになってしまうという宜しくない習性があります。
今も正直あまり宜しくない状態なのですが、
この本は、そういう時に読むと良い本だと思います。
長い。
一冊だけでもかなり分厚いのですが、それが三冊で一つの話になっています。
こういう長い話は、あまり間をおいてしまうと話の内容が分からなくなってしまったりもするので、
少しずつでも良いので続けて読んだ方が良いと思うのですが、
なかなかそれだけまとまった時間を長期にわたって確保するのは難しかったりします。
学生の頃は、長期休暇だったり、或いは学校が終わってから家で一日一時間とかで
読む事も出来るかと思いますが、学校を卒業してしまうとなかなか難しいです。
なので、連休だったり、今の自分のように宙ぶらりん(あまりお勧めできませんが)の時にこそ
(時間が許すのであれば)読むと良いと思います。
読み終えたら達成感もありますし、
読んでおけば、誰かがこの本の話題を出した時に、それに加わる事もできます。
著者のドストエフスキーは、これを第一部とし、第二部も執筆するつもりだったそうなのですが、
結局、書くことが出来ずに永眠されています。
第一部だけが世に出ていますが、これだけでも十分すぎる量ですし、
中途半端な終わり方という感じは全然なく、しっかり完結しているように思います。
上・中の二巻は読み進めるのに正直、大変苦労しましたが、
下巻で一気に伏線回収という感じで物語が進みます。
自分の場合は、読破するのに2週間程度かかりました。
ドストエフスキーの作品は、総じて
貧しく暗く、冷たく、人間の醜い部分が書かれているような気がしますが、
どの作品にも、それだけでない部分があり、
一人一人の人間のキャラクターが確固として揺るがないわけではなく、
関わり合って、変容して行きます。
登場人物が多く、また人間関係も複雑なので、
相関図のようなものを作りながら読み進めると良いかもしれません。
一人の人物に複数の呼び名がありますので、
その部分も抑えながら読んで行く必要があります。
村上春樹は、
影響を受けた本として、
サリンジャーの「キャチャーインザライ」
フィッツジェラルドの「グレートギャッツビー」
そしてこの「カラマーゾフの兄弟」
を挙げています。
僕の感想としては、やはり読み応えと言う部分で「カラマーゾフの兄弟」が群を抜いているように思います。
長い話ですが、途中でダレル事も無く、しっかりと一つの作品としてまとまっている部分がすごいと思いました。