「羅生門」
中学生だったか、高校生だったかの時に、授業で読んだ覚えのある作品。
10年以上前の事なので、内容は殆ど覚えていませんでした。
でも、これが今読み返すと面白い作品でした。
以下ネタばれ有り。
「羅生門」は、メジャー過ぎるほどメジャーで、その感想を言うのも憚れるようなものだと思うのですが、
まず、この題名から。
本来あったのは、平安京の「羅城門」で、「城」の所を「生」に替えてあるのです。
僕も、言われてみればそうなのかなぁという程度でした。
で、この「羅」という感じには、からめとるという意味があって、それで著者の芥川龍之介が、
生の全貌を見極めるという意味で題名を「羅生門」としたのではないかという説(吉田精一『近代文学注釈大系 芥川龍之介』)が、あるそうです。
なるほど。
ここでもう既に、先生!!と飛びつきたい所なのですが、勿論見どころはまだまだ有りまして(まだ題名だけだし)、
ここに飛びつくのも憚れるぐらいなのですが、10頁でいきなり「Sentimentalisme」が出てきます。
ここに来るまで、ずっと平安京の中の、下人の話をしていたのに、いきなりアルファベットが、
しかも、作品は縦書きなので、そこにアルファベットが来た時の衝撃。
考えられての事なのか、僕にはよく分からないのですが、
10頁目をめくって、すぐにこれが来るようになっているのも凄いと思います。
で、僕はこの作品を最近読んだところなのですが、
僕は右の頬に少し大きめの出来物(多分虫に刺された痕)が出来ていたのですが、
これに出てくる下人の右の頬には大きな面皰(ニキビ)が出来ていて、
そういう偶然があったので、おー、と思ってしまいました。
これを読んでいて思ったのは、漢字の勉強になるな、という事で、
漢字の問題集なんかだと、それはそれで良いのかもしれませんが、こういう作品を読んでいると、
ランダムにそういう漢字が出てくるので、読みの練習にはなるのではないかなぁと。
物語に戻ると、
下人は、羅生門に上った所で、一人の老婆を見つけて、その老婆が屍骸から毛を抜いている。老婆は、自分が生きるために(鬘をつくる為に)毛を抜いておるというのだけれど、下人はその言葉(ロジック)を丸ごと転用して、老婆から着物をはぎ取ってしまう。
老婆―屍骸 の関係を、 下人―老婆 の関係に置き換えているだけなのだけれど、
もし、老婆が屍骸に衣服を掛けていたら?と考えると、どうなのだろう。
もっと掘り下げると色々と出てくるのだと思いますが、
今の僕に書ける感想は、こんな感じです。