かもしれないブログ

月一更新です。

朝起きると。真っ黒な建物

おじさんの話の通り、葬儀場は焼けてしまっていた。

中に入る事も出来ない。

その、真っ黒な建物の前で呆然としていると、

「な。焼けてもうてるやろ。でも、火葬場はあるからね。そうや。どんな子なんかちょっと見せてーな。」

とおじさん。

私は、同居人に頼み、クルマからインコの入っている小箱を持ってきてもらった。

インコは、小箱の中に、タオルで丁寧に包んでいる。

それをそっとおじさんに手渡した。

すると、おじさん

「どれどれ。」と言って、小箱の蓋を外し、タオルを無造作に取り払い、インコを見た。

「ふーん。かわいい顔しとるやん。」

そういうと、

満足したのか、私にインコの入った箱を返し、

「今なら、お別れの言葉をかけられるよ。最後に触れてやってもえーよ。」

と言った。

私は、怖くてとても触る事は出来す、ためらっていると、同居人がインコを撫でて

「おー、よしよし。今までありがとうな。」

と言っている。

私も勇気を出して、インコに触ってみる。

臆病な子だったから、生きている時も一度も触れる事が出来なかった。

羽毛がとてもサラサラしていた。

眠るような表情のインコ。

溢れてくる悲しみを堪える。

同居人もこの時は、悲しかった様で、暫く無言のまま時が流れた。


すると、おじさん。

「じゃあ、そろそろえーかな。」

私と同居人は、

「はい、お願いします。」と答えた。

続く