朝起きると。真っ黒な建物
おじさんの話の通り、葬儀場は焼けてしまっていた。
中に入る事も出来ない。
その、真っ黒な建物の前で呆然としていると、
「な。焼けてもうてるやろ。でも、火葬場はあるからね。そうや。どんな子なんかちょっと見せてーな。」
とおじさん。
私は、同居人に頼み、クルマからインコの入っている小箱を持ってきてもらった。
インコは、小箱の中に、タオルで丁寧に包んでいる。
それをそっとおじさんに手渡した。
すると、おじさん
「どれどれ。」と言って、小箱の蓋を外し、タオルを無造作に取り払い、インコを見た。
「ふーん。かわいい顔しとるやん。」
そういうと、
満足したのか、私にインコの入った箱を返し、
「今なら、お別れの言葉をかけられるよ。最後に触れてやってもえーよ。」
と言った。
私は、怖くてとても触る事は出来す、ためらっていると、同居人がインコを撫でて
「おー、よしよし。今までありがとうな。」
と言っている。
私も勇気を出して、インコに触ってみる。
臆病な子だったから、生きている時も一度も触れる事が出来なかった。
羽毛がとてもサラサラしていた。
眠るような表情のインコ。
溢れてくる悲しみを堪える。
同居人もこの時は、悲しかった様で、暫く無言のまま時が流れた。
すると、おじさん。
「じゃあ、そろそろえーかな。」
私と同居人は、
「はい、お願いします。」と答えた。
続く。