苺の乗ってないショートケーキの話
今住んでいる地域は、苺の乗ってないショートケーキみたいなもんだとジョギング中に考えていたら、それはまさしく自分のことだと気が付いた。
苺の乗っていないショートケーキとは、つまりもうそれ自体で完成されていて、いわば完璧な状態。
しかも、それはそんじょそこらのケーキではなくて、最高の材料と、腕でもって作り上げた一品。
でも、苺は載ってない。
最高においしい生クリームと、スポンジケーキ。お酒も少し入っている。
料理長に頼んで特別に取り寄せてもらった材料を使っている。
ここまでしたら、もう後は何も付け足したくないというレベル。
絶妙なバランスで成り立っており、少しでも配分を間違えたらその均衡が崩れ、台無しになる、という一品。
でも、そこに苺を乗せるだけで、まったく次元を超えたものが出来上がる。
酸っぱい苺。それを乗せるだけなのに、それを乗せるのを怖がっていて、無意識に気付かないでいようと思っていて、実際、苺を乗せるという発想すらない。
そこに、ふとテーブルの上におもむろにおいてあった、苺、あるいは木苺をポンと一つ乗っける。
それで、すべてが、劇的に変化する。
そんな感じ。