『海上の道』
柳田國男著
『海上の道』
当時、その方面の研究をしていた人たちの取り組みの姿勢や、
柳田國男が晩年に抱いていた、研究に対する思い、生きている内にやっておきたい事、
研究の進み具合からして、己自身が生きている内には、目前にある問題の幾つもが解決されそうもないが、
それを後の代の者に託し、更に研究の余地が多く残っている事を嬉しく思っている事、
研究し尽くす事、全てを解明する事は難しいが、それだけフロンティアは残されているのだという事、
日本人がどこから来たのか、という問いから、南の島々の言語・風習を研究し、
さらに日本海側沿岸の言語・風習との比較、
海から山へ吹く風の名(アユ)、山から海へ吹く風の名(ダシ)等の名の由来、
遥か昔の人々が交わしたであろう港での出会いと別れにおける思い、
海原を渡航する人たちの挑戦、
失敗の山を築き上げ(渡航の失敗は命を落とすという事)、
失敗から推測される物事、経験を積み重ねたという事。
舟の針路を専ら風に任せていた時代の人々の事。
浦島太郎に似た話、色々な昔話・伝説が各地にあり、そしてそれが共通点を持っているという事。
などなど。
字は小さくて知らない言葉、地理的な事、島々の位置関係、等々
分かりにくい部分もあるけれども、これは面白い本だと思う。
お勧めです。