かもしれないブログ

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今年読んだ本について〜2〜

今年読んだ本について。

次に挙げたいのはこの本。

人間の建設 (新潮文庫)

人間の建設 (新潮文庫)

近所の本屋さんへ行って、二人の顔に魅かれて買った。CDで言うジャケ買いだ。

家にあった国語の便覧で見た小林秀雄の顔よりも、いい顔だった。

二人の天才の対談を文章で読んで行く、読みやすい本だった。

中でも、印象的だったのがこの件。

人間について、

滅びたら、また二十億年繰り返してからそれをやればよいでしょう。現在の人類進化の状態では、ここで滅びずに、この線を越えよと注文するのは無理ではないかと思いますが。しかし自然の進化を見てみますと、やり損いやり損っているうちに、何か能力が得られて、そこを超えるというやり方です。

ともかく人類時代というものが始まれば、そのときは腰をすえて、人間とはなにか、自分とはなにか、人の心の一番根底はこれである、だからというところから考え直していくことです。そしてそれはおもしろいことだろうなと思います。

自分が普段捉えている人生観、歴史観よりも更に一段階(数段?)階層を上げたレベルでの話。

そういう捉え方をすると、自分の自分自身に対する拘りとか、プライドだとか、がすごく小さなもののように思える。自分もその流れの中の一つの粒に過ぎず、その流れは、その粒に関係なく大きな流れを保ち流れる。

人間が今回で人類になれなければ、それはそれ。いつ人類になれるかは分からないけれども、挑んでは敗れ挑んでは敗れ、それを繰り返していくうちに、その一線を越える。

その考え方をするとしないとでは、その人の行動もまた変わっていくような気がする。

どのような影響があるかはわからないけれども、思考の可動域が広がるように感じた。

それだけでなく、二人の雑談からまた派生させて進むこともできる色々なエッセンスというか、そういう要素がギュッと詰まった一冊だった。

そして、小林秀雄は他にも色々なところで名前が出てくるので、自分の脳内に小林秀雄と言う人物を作り、そこに坂口安吾が現れて…次はだれが現れるのだろうか、という楽しみも出てくる。

思考を柔軟にさせてくれる楽しい本だった。

知力の向上、人間にとっての知力の大切さ。

大学を出たクセに、何の為に大学に行ったんだ。

社会に出るとそういう言葉を投げかけられる事がある。

しかし、本来、大学は就職の為の組織ではなくて、人間の知力の向上を図る組織ではなかっただろうか。

大学に通わずとも知力を向上させる事は出来るし、大学を出たからといって、必ずしも知力が向上しているわけじゃない。

しかし、大学とは教育とは何故あれだけコストがかかるのかは疑問だけれど、

大学と就職がセットで考えられてしまうのは、不幸な時代だとは感じた。

学歴というのは、一体何なのだろう。

大切なのはラベルではなくて、その中身。

しかし、中身を良くする、吸収していくやわらかい知性というのは、自分はまだまだ得られていないように感じる。

何度も読み返したい。

値段は362円。

362円で、この雑談が読めるというのは、本当に素晴らしい事だ。