かもしれないブログ

月一更新です。

無題

人間は悲しいものだ。切ないものだ。苦しいものだ。不幸なものだ。なぜなら、死んでなくなってしまうのだから。自分一人だけがそうなんだから。銘々がそういう自分を背負っているのだから、これはもう、人間同志の関係に幸福などありやしない。それでも、とにかく、生きるほかに手はない。生きる以上は、悪くより、良く生きなければならぬ。

(坂口安吾堕落論』P254)

小説なんて、たかが商品であるし、オモチャでもあるし、そして、又、夢を書くことなんだ。第二の人生というようなものだ。有るものを書くのじゃなくて、無いもの、今ある限界を踏みこし、小説はいつも背伸びをし、駆けだし、そして跳び上がる。だから墜落もするし、尻もちもつくのだ。

(坂口安吾堕落論』P254)

私はね、自分の抱えた問題の意味をきちんと考え、的確な答を出したいの。もちろん、的確な答に辿り着くまでに、間違った答を出してしまったり、奇妙な方法を選んでしまったりするかもしれない。私はバカだから、そんなに簡単に正解には行き着けないのよ。だけど、途中で間違えたり脇道に逸れたりすることも、すべて、正解に近づくために必要なプロセスだと思ってるから。曲がりくねった道の先に、いつかきっと、答が見つかると信じてるから。

(中村うさぎ『私という病』P80)


私は弱者よりも、強者を選ぶ。積極的な生き方を選ぶ。この道が実際は苦難の道なのである。なぜなら、弱者の道はわかりきっている。暗いけれども、無難で、精神の大きな格闘が不要なのだ。

(坂口安吾堕落論』P193)