本を読んだ。東洋的な見方
- 作者: 鈴木大拙,上田閑照
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/04/16
- メディア: 文庫
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以下、赤線を引いた部分。
東洋では霊性的美の欠けたものを、ほんとうの美とは見ないのである。霊性的生活から遊離した美は、ただそれだけのことで、それ以上には何の意味をも持たない。
(P31)
生きてゆく上では、眺めるための殿堂よりも、住み心地のよい草庵のほうが、よさそうではなかろうか。
(P34)
自由の本質とは何か。これをきわめて卑近な例でいえば、松は竹にならず、竹は松にならずに、各自にその位に住すること、これを松や竹の自由というのである。
(P67)
弱肉強食とか適者生存とか優勝劣敗などという生物界の現象を見て、人間も生物だから、それでもよいのだなどという人がある。地獄はこのような人々のために用意せられてあるのだ。生物界の進化論は、人間界に、その部分を応用するわけにゆかぬ。進化は人間に至って一転化した。
(P70)
言葉に出さぬと、わからないというし、言葉に出すと、その言葉に取りすがってくる。取りすがられると、支離滅裂で、始末におえなくなる。まことに、人間という存在はやっかいなしろものである。
(P87)