かもしれないブログ

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ELEVEN

#13 扉

この曲は、実はこのアルバムの「核」ではないかと勝手に思っている。

この次のアルバム GREEN と、これとはまったく音の質が違うのだが、比べると、ELEVENはずっしり重たい感じ。戦車みたいな重厚さを感じる。それか、もう色々武装したヘリみたいな感じ。

GREENになると、軽くなって、良くも悪くも薄っぺらに聴こえてしまう。
GREENは、ジャケットや、歌詞カードの写真に青空が多様されているけど、曲調にもそれを反映するかのように(ホントは逆なんだろうけど)青い感じ、一点の曇りもない青空をイメージさせる作りになってる。

カラッとした、夏の空気。

収録されているシングルで比べると、熱き鼓動。

熱き鼓動は、何だったかの多分水泳の大会のタイアップソングだったと思うけど(違ってるかも陸上?)、かなり乾いた感じがする曲。
湿度は微塵も感じられない。

でも、それがjuice(ELEVEN)だと、じめじめじとじと、湿度の高い部屋がイメージされるし、曲調も重たい感じ。ずっしりくる。


全体的に、ELEVENはどんよりとした感じ。低く垂れ込めた雲と、濁った大河をイメージさせる。

じめじめ、どんより。ヒトの負の側面というか、目を背けたい所を、敢えて直視して突き詰めていく。

前置きがかなり長くなったけど、つまりこの「扉」っていう作品は、そういう負の部分っていうか、フラストレーションを超圧縮させて、作った曲だと思う。

メッセージソングとかじゃなくって、己の中のそういう目を背けたくなる部分が持つ、すごい力を、もうすんごく圧縮させた感じ。

これは歌なのかどうなのかって部分まで来てると思う。

僕はB'z以外はあまり深くのめり込む事が無かったので、ほかの方の作品と比べられないのが、なんとも歯がゆいのだけど、この「扉」はかなり濃い、ROCKなのではと思う。


重たい音、じゃんじゃんじゃかじゃかなっている中で、振り子のように心細く揺れる音があるのだけど、それがこの曲の骨というか、血管みたいな感じで。

骨じゃないな、血管的な存在なのだけど、それが最後に見せる表情というか、その振り切れ具合が気持ち良く、自分の重たい、倦怠感みたいなのも一緒に振り切れてどっかへ飛んでいく。

少し催眠術ぽい感じがするかな。

そういう意味では。

その振り子と、自分の倦怠感をリンクさせて、最後に振り切る感覚。

僕は、この「扉」という曲が大好きなのだ。

もし、棺桶にCDを一枚だけ持って行って良いと言われたら、僕はこの曲が収録されたELEVENを持っていくかもしれない。



ELEVEN